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はじめに トロンプロジェクトは理想的なコンピュータアーキテクチャの構築を目的として1984年東京大学の坂村健博士によって提唱され、1984年トロンプロジェクト発足、1986年TRON協議会を経て1988年社団法人トロン協会が発足した。2004年プロジェクト発足20年目の節目を経て、来年はトロン協会発足20周年を迎える。
この間ITRON、BTRON、CTRONの各仕様書を世に出すと共にトロンシンポジウムを筆頭に各種シンポジウム、セミナーを開催、トロンプロジェクトジャーナル、はがきニュース等を刊行し、トロンの普及、啓蒙を行ってきた。中でもITRONについては、携帯電話をはじめデジタル家電分野で広く使用され日本の組込み分野ではデファクト・スタンダードの地位を得た。CTRONは通信用リアルタイムOSとしてNTTの国際調達仕様となり、トロン仕様チップもGMICRO(Global MICROprocessor)100〜500の開発生産を通じ参画各社のMPU設計のベースとなり、その間育った幾多のエンジニアを考えると大きな成果を挙げたといえる。また、2002年6月、搭載するMPUは自由であるが、周辺のハードウェアを標準化し、ミドルウェアの流通を目的として、T-Engineフォーラムが設立され、ユビキタスネットワーク社会の進展と共に大きなインパクトを与えつつある。
今迄の成果であるJTRON、ITRON、BTRON、CTRONと、現在検討を進めているT-Engine、eTRONを含め、今後のトロンプロジェクトの中長期ロードマップを示す。
課題認識 トロンプロジェクトが発足以来提唱してきた、どこでも、誰でもコンピュータ、ユビキタスネットワーク社会がいよいよ現実のものとなりつつある。
今後の課題はT-Engineフォーラムとの連携強化によるITRONの一層の普及促進のための開発環境整備、ユーザへの関連情報提供、ユビキタスコンピューティング環境の進展に対応したセキュアなeTRONの実証にある。
ITRONやT-Engineの一層の普及促進ついては各種セミナーを開催している。今後も更なる普及を目指すため、
などを推進していく。
- ソフトウェア部品のインタフェースの標準化
- 開発環境の改善、ツールの充実
- ミドルウェアの充実
中長期ロードマップ 図1の中長期ロードマップには2007年のトロン協会プロジェクト推進体制および各グループの活動目標も示してある。図2に示す通り、5つのグループに集約し、活動を行う予定である。各グループの活動目標は研究開発指向を徹底させ、一層の活性化を行いたい。以下に各グループの活動内容を記す。
1. 先端研究開発グループ
セキュアなデータキャリアチップ(eTRON)や、次世代ユビキタスコンピューティング環境(Highly Functionally Distributed System, HFDS)といった、日本型IT技術やインフラの構築に向けた、先進技術の研究開発、およびそれと関連する動向調査などを行う。
2. ITRON仕様検討グループ
ミドルウエアの流通を目的としたT-Engineフォーラムとは別に「弱い標準化」での仕様普及を目的に開発環境、ツールの整備も含め活動を行う。具体的には
- カーネルに関する技術検討
- ITRON仕様書の整備、英文仕様書作成
- ITRON関連の応用製品、技術仕様書、開発ツール等の情報収集および提供
- プログラミングガイドブック作成
などを推進していく。
3. TRON多文字応用グループ
多文字変換システム(トロン・フォント・トレーサビリティ・システム、TFTS)の具体化を各種異なるDM印刷の自動変換、電子ブックについて検討する。また東京大学で開発されたT書体フォントを活用し応用面の拡大を図っていく。
4. TRON教育・普及グループ
RTOS技術者の教育については入門者を対象にしたWeb Learning、座学による入門講座、ITRONやT-Kernelを使った組込みリアルタイムプログラム作成演習を行う実技講座を3本柱として実施している。特に実技講座は好評を得ており、ほぼ月一回の割合で協会ないし要望のあった各地の関係機関で開催し、年間100人規模の技術者教育を行っている。今後はこれを全国的に展開し、座学・講演会も含めて年間1,000人規模の技術者に対してトロンの普及啓発を図りたい。同時に、中級編や応用編については協会加盟各社の実用講座情報を提供し、受講される方々への便宜を図っている。
また、組込み技術者層の拡大を図ることと組込み技術者に対してインセンティブを与えることを目指して組込み技術者の認定制度が昨年度よりスタートし、まずJASAによる認定試験が始められているが、当協会では上位のトロン技術者認定試験について東京大学やT-Engineフォーラムと協力し、積極的に取り組んでいきたい。
5. マーケティンググループ
トロンプロジェクトとしてのシーズの追求に対して、ニーズの発掘を行いプロジェクトの研究開発に関連情報の提案を行う。特にITRONについては日本におけるデファクトスタンダードとなっており、関連製品、対応CPU、開発ツール、技術仕様書等の情報を体系的に収集し必要な情報を提供する。
6. その他
海外展開活動は技術進展のめざましいアジア地区への展開をはかるため、展示会への出展、仕様書の英文化等の検討課題に取組む。
図2 プロジェクト推進体制